アルスター通信(ドイツだより)

Alster Nachrichten

  1  2000年12月28日発行

      発行人: 吉野 輝雄

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                        アルスター通信・第2号」
 

Merry Chritmas
and
A Happy New Year.
2000-2001

 

 

Teruo & Junko Yoshino

in Hamburg

 

 

キリスト誕生のクリッペ:Hamburgのクリスマス市の広場で


内 容                 12/23/2000
1.ハンブルクの気候
2.私どもの近況/ドイツでの生活
3.ドイツのクリスマス
 
ドイツのクリスマスについて<続編> 12/29/2000
1.フォイアツアン ゲンボウレ
2.ドイツの教会 のクリスマス
  

1.ハンブルクの気候

 12月半ばまでは150年来という異常に暖かい日が続き、雨と時には嵐のような妙な天気でしたが、アドベント第3週過ぎに急に寒くなり、氷点下を 記録しました。例えば、今朝(23日)は-4℃で、午前10時でも-2℃でした。そのため昼間に霜が降り道路や屋根の上が白くなるという珍しい光景を見ま した(ハンブルクではまだ雪は降っていません)。それでも100年前に建てられた古いゲストハウスの部屋の中の温度が常に20℃以上に保たれていて全く寒 さを感じさせないのは、さすがドイツだと思います。因みに、私はドイツで室内外の温度を同時に測定できる温度計を入手し、便利に使っています。

 

2.私どもの近況/ドイ ツでの生活

 妻の純子が12月7日の夜、無事ハンブルク空港に到着し、純子にとっては約34年間勤めた青山学院を11月末で退職し第二の人生に、私に とってはHamburg滞在第3期に入りました。一人暮らしの第2期は、ウイークデイは研究に集中し、週末には北海沿岸の灯台巡りを自転車と足で楽しみま した。日曜日はハンブルク郊外の日本人福音キリスト教会に出席し、今はすっかり皆さんと親しく主にある交わりをさせて頂いております。10月末まではメッ ツガー宣教師が日本語で深い福音メッセージを語って下さっていましたが、定年で退任されましたので、後任の河村昭夫・紀子宣教師夫妻がベルリンから毎聖日 来てメッセージを取り次いで下さっています。12月17日にはクリスマス礼拝と祝会があり40人近い人たちが集まりました。この時に純子が初めて礼拝に出 席して皆さんに挨拶しました。私は、例によってけん玉とコマを披露し、同時にクリスマス・クイズを作って楽しみ作りに協力しました。

 純子は時差ぼけがほとんどなくすぐにこちらの生活に慣れ、元気にやっております。もちろんことばの問題がありますが、これから8ヶ月余の 生活の中で徐々に努力して慣れるしかありません。私もドイツ語と格闘中ですが、町の中での買い物や旅行中に出会う人たちとの会話はドイツ語で通し、それな りに通じるので滞在中にはもっと自由に会話が楽しめるよう努力したいと思っています。

 ハンブルクに来て160日(滞在予定の40%)が過ぎましたが、この間家族、教会の方々、ICUの同僚や学生と毎日頻繁に電子メールでや りとりしていますので、遠く離れて暮らしているという感覚がありません。インターネット 上で朝日新聞を毎日読んでいますので日本の状況も大体分かります。しかも、利用料金がほとんどタダなので勢い手紙を書くのがおっくうになり、電子 メールを使わない人とのコミュニケーションが薄くなって問題だと感じております。

 パソコンについてはこれまで便利さと問題の両方を感じさせられて来ました。外国で日本語環境のパソコンをフルに使うのはやさしいことでは ない事を思い知らされています。書き出すと切りがないのでやめますが、幸いなことに純子がもう一台のノートパソコンを持って来て以来、いろいろな問題が一 挙に解決しました。印刷もスキャナーでの画像処理もできるようになったのです。実は、ドイツに来て以来毎日、パソコンで(ファイルメーカーを使って)日記 をつけています。毎日の生活記録だけでなく、研究日誌、予定表、電子メールの送受信記録、天気、写真の記録なども一つのファイルで整理していますので、年 とともに衰えてつつある記憶力を補ってくれています。これはドイツ暮らしで身につけた生活技術だと思っています。

 生活と言えば、ドイツの食料品はじめいろいろな物価が日本よりも格段と安いのはとてもありがたいと思っています。一人暮らしの時にスー パーで野菜・果物、牛乳などを買い物袋に入りきれないほど買っても30数マルク(1500円位)でした。ただ修理費が高いのにはまいります。パソコン、カ メラの修理では泣きました。ドイツの鉄道(DB; Deutsche Bahn) 料金は必ずしも安くはないのですが、DB Card(260マルクで1年間有効)をもっていると半額になる割引があり、また、週末チケット(40マルク)を買うと5人までの同行者がドイツ国内なら どこへでも行けるという特別割引もあります。マイカーを持たない私は、DBの情報を収集しいろいろな割引チケットをフルに利用しています。また、列車の発 着時刻と料金がinternetで調べられます(http://www.bahn.de)の で、事前に予定を立てることが簡単にできます。

 

3.ドイツのクリスマス

ドイツのクリスマスを体験的に知りたいというのが私の一つの希望でした。

今日はクリスマスイヴの前日なので本番を見ていないのですが、
これまでの体験を以下に記します。

 ドイツのクリスマスはアドベント前から始まります。実は、 11月半ばに中部ドイツのダルムシュタットへ行く機会があったのですが、すでに町の中心にクリスマス・ピラミッド(右の写真)が組み立てられていました。 ハンブルクでは、12月に入るとあちこちでクリスマス市(Weihnachtsmarktという)が立ち、人々がクリスマス用品を買い始めます。12月1 日から3日間、民族工芸博物館の中に特別なクリスマス市が開かれ、たまたまその初日に行く機会に恵まれました。そこで知ったのは、ドイツだけでなくポーラ ンドやフィンランドから自らの手作りクリスマス・グッズを持ち寄って売ったり、その地方の民族舞踊を披露することがクリスマス市の一つの形なのだというこ とです。それ以外に街の広場にはアドベント期間中クリスマス市が開かれますが、ここでは屋台が並び一般的なクリスマス用品が売られます。

 
 

     左は岩塩のランプ、右はフィンランド人の出店

 

 
特に町による個性的なところはなく、市民が夜8時過ぎまで家族、友人と出かけて来てグルーワイン(温かく甘い赤ワイン)を飲みながら楽しむも ののようです。日本の祭りと同じですね。

 

 さて、リューベックの聖霊養老院で開かれるクリスマス市はドイ ツの中でもとりわけ有名です。ハンブルクから電車で40分で行けるので、12/10(日)、キールの海蔵寺先生夫妻、木下先生と私ども夫婦で行って来まし た。午前中はマリア教会の家庭クリスマス礼拝に出ました。マッチ売りの少女の話を分かりやすく子ども達に語りながら子どもの参加の場も含まれた礼拝でし た。クリスマス市の会場前は長い列ができ入場者数の規制が行われていました。30分近く待って中に入ると小さな出店が並び、大勢の人々が買い物と雰囲気を 楽しんでいました。ここも手作りの品々が展示直売されていて思わず欲しいという物が目に映ります。サイフの紐を締めて会場を一巡すると、あっという間に2 時間が過ぎていました。

 町のクリスマス・イルミネーションや店先は、どちらかと言えばおとなしいといった感じです。泥酔したり奇妙な服装をした浮かれた人たちも あまり見かけません。せいぜい店員が赤い帽子をかぶって会計をしている位です。豪華なクリスマス・ケーキも見かけません。その代わりシュトーレンという砂 糖がたっぷりのったフルーツケーキがパン屋さんの店先に並びます。個人的には甘いものには食指が動かないので見ているだけです。

 クリスマス会ももちろん頻繁に開かれます。私どもは、 12/16(土)に、キールの海蔵寺先生夫妻が日本人会と独日協会の日本語クラスで学んでいるドイツ人25人位を招待して下さった会に出席しました。この 会は、海蔵寺先生ご夫妻が祈りをもって心を込めて用意されたもので、単なる楽しみ会ではなくメッツガー先生のメッセージを中心に据えた本物のクリスマス礼 拝でもありました。メッツガー先生は、レンブラントのマリア・ヨセフの絵の変遷をスライドにまとめられ、レンブラントの信仰理解の変化が年齢を重ねるに 従ってどのように変化し、絵の中に描かれているかを解説しながら見せて下さいました。それは同時に福音メッセージでもあったのです。レンブラントは私も好 きな画家ですが、その晩見た絵の中には初めて見たものが多く、しかも、鋭い観察と洞察に満ちた解説に目が開かされ、強く心が引き寄せられました。

 さて次に、ハンブルク大学がクリスマスにどう関わっているのかを 少しお伝えしましょう。アドベントに入る直前に化学研究所の玄関に大きなクリスマス・ツリーが飾られました。木の下にはサンタクロース (Weihnachtsmanと言います)の人形が置かれています。それは特記すべきことではありませんが、クリスマス・レクチャーという講演会が2つ開 かれたのに興味を引かれ2つとも出席しました。一つは有機化学の専門的な内容のレクチャーで、年末に面白い成果をあげた3人の研究者が発表するというもの でありました。

 しかし、もう一つはクリスマスレクチャー(Weihnacht Vorlesung):12/22(金)大学がクリスマスで休みに入る最後の日の昼に一般市民、学生、卒業生が大講堂を埋め尽くす ほど集まるユニークなレクチャーでした。開始時間前から大勢がホール前に集まり温かいグルーワインを飲みながら今か今かと待っていました。無機化学の講義 だというのになぜこんなに大勢の人が集まるのかと不思議に思いながら私は展開の様子をながめていました。始まってすぐにその理由が分かりました。化学の講 義と題していますが、講堂の空間に浮かんだ水素入りの風船を爆破させたり、花火や炎色反応できれいな色を見せて楽しませてくれるといった内容だったので す。プロのキーボード演奏者も来ていてレクチャーに合わせて即興のメロデイを奏でます。また、聖夜を元素の名前に置き換えて歌わせたり、化学を勉強した人 でなければ理解できない水素の電子軌道の絵で理論を説明した後に、その絵をサンタと蝶の絵に変身させたりとなかなか上手な演出です。まじめさと楽しみを組 み合わせたドイツらしい企画だと思いました。それを聴衆がまじめに見入り、拍手で応援するというその場の雰囲気にもドイツ人の国民性を感じ私には興味深く 思えました。

 

 もう一つ有機化学研究室のクリスマス会について記します。

12/21(木)の夕方から、H. Paulsen名誉教授主催のクリスマスパーテイーがセミナー室で開かれました。これは毎年行われているもので、現在の教員、大学院生たちだけでなく卒業 生が年に一度集まる機会となっています。生涯独身を通されたPaulsen教授を教え子達が実の親のように慕って集まるのです。教授はこの晩をとりわけ楽 しみにされていて、クリスマスの食事が一段落したところで最近訪れた外国(今回はアルゼンチン)のスライドを見せながら楽しそうに解説されていました。こ の会は、また在学生が就職先について先輩に相談できる貴重な機会ともなっているそうです。私は日本の(実は、ヨーロッパ起源の)けん玉の技を披露し楽しん でもらいました(ここでもまた?x、と言われそうですね)。

 

 明日(24日)のクリスマス礼拝は、ハンブルクの聖ミカエル教 会に出席し、午後キールのシャウアー教授宅に伺うことになっています。ドイツでは、クリスマスは家族が集まってプレゼントを交換し、クリスマスのご馳走を 食べながら一緒に祝うもので、そこには普通お客は招ねかないのだそうですが、シャウアー教授は親切にも外国人である私どもと海蔵寺先生夫妻を招いて下さっ ているのです。感謝です。夜は近くのAltenholz村の教会の燭火礼拝に出席し、お宅に一晩泊めて頂くことになっています。どんな経験になるか、その 報告はいずれ致したいと思います。

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