ハンブルクはエルベ川の流域に位置しており、100km下ると北海に出る。電車で1、2時間北西に向かって走ると北海沿岸の町々に行くことができる。また、東の方へ向えば1時間余でバルト海沿岸に出られる。
これは、海の幸が容易に入手できることを意味しており、市場(Markt)には新鮮な魚介類が揃っているので、われわれ日本人にはとても有り難い。海水浴や海のリゾート地で楽しみたい人にも便利だ。
因みに、私は趣味で北海とバルト海沿岸の灯台巡りをしているが、ハンブルクほど便利な拠点はないと思っている(この話題は別の機会に取り上げたい)。
- ●北海案内:[●G]
- ●北海における休暇:[●G]
北海沿岸は国立公園に指定されていて、広大な干潟(Wattenmeer)が特徴となっている。昨年の夏、クックスハーヘン(Cuxhafen) の干潟[●G]をかなり沖合いまで裸足で歩いた。干潟を歩くことは生命のふるさとに直に触れるようで楽しい体験であるが、干潟は珍しい植物や渡り鳥にとっ ての天国であるので、それらを観察することで自然の豊かさと役割を学ぶこともできる。
●干潟(Wattenmeer)[●G]
7.町の中心に市民の憩いの場所(アルスター湖、公園)がある:
ハンブルク中央駅から5分も歩くとアルスター湖畔に着く。内アルスター湖は町のほぼ中心にあり、湖周囲には重厚なビルやホテルが建ち並び、その南 端近くに堂々としたルネサンス様式の立派な市庁舎が立っている。この景色は典型的な絵はがきになっており、ハンブルクの繁栄を印象づける。
●アルスター湖:[●E,G]
一方、大きな外アルスター湖には、夏はヨットやカヌーが浮かび、湖畔は広い公園になっていて市民の憩いの場所となっている。特に、湖の周囲の歩道 には冬でも散歩している人が多いのには驚かされる。また、アルスター湖周辺には、ニベア化粧品の創始者の館をはじめ高級住宅が並んでいて落ち着いた雰囲気 をつくり出している。 アルスター湖畔
アルスター湖の北方にはPlanten un Blomenという広大な植物園+公園がある[●E,G]。●園内の花:[●G]
かつてはハンブルク大学所属の植物園であった所だ。ここには季節毎に多種多様な花が咲く。バラ園、ハーブ園も充実している。また、石楠花(しゃくなげ・Rhododendron)の樹が公園の一角を埋め尽くすほどに植えられているので、5月の開花が今から楽しみだ。
また、ドイツ最大の日本庭園があり、日本文化を深く愛したドイツ人が捉えた日本の美が表現されていて興味深い。公園の中の2つの池にはいつもカモやカモメが群れをなして泳いでいる。夏には池の近くの野外音楽ホールでコンサートが開かれる。
夏はもちろんだが、他の季節でも散歩に憩いに来られる公園・湖・広い河原が町の中心近くにあるハンブルク市民は何と幸せなことかと思う。
(実はハンブルクに限らずドイツの大都市はどこも同様だ)。
本当?と意外に思う人もあるかと思うが、以下のような根拠から事実であることが理解できる。
まず、1年中雨が多い。ハンブルクは曇りの日が多く、晴れていてもいつ雨に変わるか予想ができない。これまで半年間、私は毎日天気を記録しているが、変わりやすく雨が多いことが裏付けられる(天気予報[●E]は ほとんどあてにならない/週間予報なので目安として見るべし)。これは、北海やバルト海からの湿った空気が流れ込むからで、北ドイツ特有の気候なのだ。 うっとうしい天気は時に気分も滅入るが、実はそのような天気の結果、豊かな緑の木々や多くの草花に恵まれているのだ。ドイツ最大の果樹園がエルベ川沿いの 地域にあるのも恵みの現れと言えよう。
町の中心に湖があり、広大なエルベ川が流れ、多くの運河が走っていて、その面積はハンブルク全面積の8% (60 km2/750 km2)にもなる。また、橋の数(約2400)が水の都ベネチアよりも多いという事実を知っているだろうか。
水と緑が多いことは言うまでもなく温暖な気候をもたらし、生活しやすいことを意味する。気温は年間平均が8.4℃、夏は16.1℃、冬は+ 1.5℃でほとんど雪は降らない。もちろん時には厳寒の冬が訪れ、アルスター湖が凍結して市民を喜ばせることもある。