アルスター通信(ドイツだより)

Alster Nachrichten

  24  2001年7月31日発行

      発行人: 吉野 輝雄

                                                             

  外国でパソコン/日本語を使うためのノウハウ      

                      
                                 吉野輝雄 in Hamburg

 

内 容:

1.パソコンを日本語環境で使用するには?
2.日本語OSパソコンでメールを送受信するためには?
a. 使用環境を整備する(モデムの設置、プロバイダーへの接続、メールソフトの設定)
b. メールを書いて、送信する
c. 画像ファイルや文書ファイルを添付して送信する
d. 遠隔地でメールを送受信する
3.インターネット上のホームページ(HP)を読むには?
4.大学/会社のネットワークに接続するためには?
私のドイツ・ハンブルク大学での経験
5.日本語以外のOSで動いているパソコンで日本語を使うには?
(Internetで日本語表示のWeb-pageを読むには?/日本語でメールを送受信するには?)
6.WindowsとMacパソコン間のファイル共有
(互換性のあるファイル、CD-ROMファイル、通信環境の利用)
7.日本語でHPを作るには
8.トラブルの解決法、修理
 さいごに

 


 

 私のドイツ滞在中の経験と知識に基づいて、外国に居ながら日本語でパソコンを使用する場合の問題について述べます。ここでは、主として何ができる かについて述べ、どのようにするかについては最小限の説明だけにとどめさせて頂きますので予めご了解下さい。なお、Machintoshコンピュ-タを Mac, Windowsコンピュ-タをWinと略します。

 

1.パソコンを日本語環境で使用するには?

 日本語OS(Operation system software/基本ソフト)で動いている日本製パソコンを持ってくるか、外国でパソコンを購入し日本語OSを組み込めば(インストール すれば)日本語で動くソフトを日本にいるのと全く同様に使用できます。

 問題は、電源プラグの形状と電圧の違いです。Macでは変換プラグを接続するだけで使用できます。日本製Winの場合には変圧器で中継する必要が あります(最近の機種にはACアダプターが付いています)。日本製周辺機器(ハードデイスク、プリンター、スキャナーなど)の電源には一般に変圧器が必要 です。しかし、USB接続装置付きの最新パソコンでは、電源の不用なUSB対応周辺機器があ りますので外国での使用には便利です。

 電源プラグ(100-220V) と変圧器

 

2.日本語OSパソコンでメールを送受信するためには?

a. 使用環境を整備する(モデムの設置、プロバイダーへの接続、メールソフトの設定)

・モデムの設置と接続:モデムがパソコンに内蔵されている場合には問題ありませんが、外付けの場合にはそれぞれのマニュアルに従って 接続します。モデムと電話回線との接続部分の形状が国よって違っている場合には専用部品を用意する必要がありますが、最近は統一規格になっているようです (例えば、ドイツは日本と同じ)。

・プロバイダーへの接続:日本でプロバイダーへの登録が済んでいるという前提で説明します。AOLの場合には、各国に接続番号があってメニュー画面から国名を選択すると、その国の(市内)電話料 金で使用できます。Niftyの場合には、ローミングというやっかいな接続方式をとっているのでかなり面倒です(体験から)。その国のプロバイダーに登録 加入することも可能です。メニュー表示が外国語であるという点に抵抗がなければ、長期駐在の場合には便利かも知れません。

・メールソフトの設定:使いなれているメールソフトをそのまま使用できます。設定法は同じですが、外国で使用する以上、当然それなり の設定変更個所があります。TCP/IP設定が必要な場合には、近くの詳しい人に相談するの が最短解決の道です。なお、パスワードの記憶、自動接続(オートログイン)などの設定をしておくと便利です。

 

b. メールを書いて、送信する

 メールソフト上で送信メール画面に直接書くのが普通かもしれませんが、私の場合にはワープロで書いた後に、メール送信画面にコピー&ペー ストしています。その利点は、メールを別途保存して整理できること、使いなれたワープロのスペルチェッカーを利用できること、各行末に改行マークが簡単に 付けられることなどです(最新のメールソフトでは可能かも知れません)。因みに、一行当たり33-34文字数にして各行末に改行マークを入れて送信する と、受信者にとって読みやすいメールになります。Subjectに日本語を使用すると文字化けすることがあるので、英語で書くようにすると確実です。

英語/ドイツ語OS環境のパソコン上で日本語でメールを書く方法については第5節で述べます。

 

c. 画像ファイルや文書ファイルを添付して送信する

 文書だけでなく画像ファイルが送れるとメールの楽しみが倍加します。それには、いくつかの注意点があります。まず、画像ファイル(デジカメで撮影 したファイルや絵や写真をスキャナーで取り込んだファイル)をメモリー量の少ないJPEG(あ るいはJPG)ファイルとして保存し、その後に添付ファイルとして送ります。

 できれば画像処理ソフト(PhotoshopやGraphic Converterなど)で解像度を変更し、一つの画像ファイルを100K(Byte)位に減らします(高画質で送りたい場合は別ですが、 これで十分大きな画像として画面に表示されます。)。

 一度に数枚の画像ファイルを送ろうとすると、総メモリー量がかなり大きくなり、送信に時間がかかるだけでなく、受信者のメール環境によっては読め ない場合があります。一つの解決法は、複数のファイルを圧縮用ソフトでまとめてから(アーカイブして)送信することです。WinZip(Win), ZipIt (Mac)いったシェアウエア・ソフト(あるいは、Aladdin社のDropStuffと いうシェアウエア・ソフトと無料の解凍用ソフトStuffit Expander)をInternetからダウンロードすることができます。

圧縮/解凍用ソフトウエア

WinZip http://www.winzip.com/ddchomea.htm (Win)  Shareware
ZipIt http://www.maczipit.com/ (Mac) Shareware
DropStuffとStuffit Expander
http://www.aladdinsys.com/dropstuff/  (Mac)(Win) Shareware
http://www.aladdinsys.com/expander/  (Mac)(Win)  free

 なお、画像ファイルに限らず通常のワープロ文書や音声/ムービーファイルも添付ファイルとして(圧縮して)送ることができます。

 

d. 遠隔地でメールを送受信する

 日本の大学や会社ですでにメールアドレスをすでに保有している場合には、外国に来てからもそこに届いているメールを読むことができます。メールソ フトに接続条件(POPアカウント、SMTPサーバー、接続機構TCP/IPなど)を設定しておけばよいのです。

 但し、受信メールを読むだけで送信することはできません(少なくとも私の大学では、学外からサーバーに入って送信することを許していません)。

 そこで、送信するためには、2aで述べた電話回線にモデムを接続する方法を利用するか、あるいは第4節で述べる方法を使います。

 

3.インターネット上のホームページ(HP)を読むには?

 まずメールを送受信する時と同じ要領でプロバイダーに接続します。その後、Netscape CommunicaterまたはMicrosoft Exploreというブラウザーソフトを立ち上げます。次ぎに、画面情報の入力スペースにホームページ・アドレス(URL(Uniform Resource Locator)ともいうhttp://で始まる文字列)を入 力すればよいのです。こんな簡単な操作で世界中のHPに一瞬にしてつながります。一度開いたHPの中の下線のついた青文字をクリックすると他のHPへジャ ンプします(リンクといいます)

 一度開いたHPを後に何度も開きたい場合には「ブックマーク」または「お気に入り」に追加しておくと再入力の手間が省けます。

 なお、HPを検索するためにYahoo(英語、日本語)やgooなどの検索エンジン(オンライン電話帳のようなもの)を「ブックマーク」に入れておくと便利で す。検索用の検索エンジンSearchdeskもあります。

Yahoo(英語) http://www.yahoo.com/
Yahoo(日本語) http://www.yahoo.co.jp/
Goo http://www.goo.ne.jp/
Searchdesk http://www.searchdesk.com/

 

4.大学/会社のネットワークに接続するためには?

 仕事場のネットワークが利用できる場合には、例えば日本語OSノートパソコンを仕事場に持っていき、そこのEthernetに接続してネットワー クに入り、ホストコンピュタを経由してメールの送受信をすることができます。但し、当地のネットワークを利用するためには担当責任者からIP アドレスを割り当ててもらい新たなパスワードを登録する必要があります(これについては個々の仕事場固有の手続き法があるはずです)。

 一旦ネットワークの使用が許可されると、机上のパソコンからInternetにつなぐことができ、また、イントラネット(内部ネットワーク)上に つながっている他のコンピュタやプリンターとのやりとりも可能になります。

 

ここで私のドイツ・ハンブルク大学での経験を 記します。

ドイツの大学はほとんどWindowsパソコンでネットワークを構築しているようです。私は長らくMacを使って来ましたので、PowerBook G3(最も初期のタイプ)を持ってきました。20余人の研究室メンバーの中で唯一人のMac userです。無論、個別に使う分には全く問題ないのですが、大学のネットワークにつなぎ、他のパソコン/サーバーにアクセスしたり、ネットワークを利用 してプリントしようとしたときに問題にぶつかりました。

Macintosh Power Book G3 + DVD-RAM + カード(スマートメデア)リーダー

 ネットへの接続はApple Talk/Apple Shareを利用すれば理論的には可能なはずですが、少なくとも2000年の8月の時点では不完全であったため(コンピュタに詳しい学生でも分からないこ とが多かった)、私の場合にはDAVEというMac-Windowsネット接 続用のソフトをオンラインで入手(試用後、正式購入)しました(download the DAVE evaluation software from one of the following locations: http://download.thursby.com/)。

 これで大学のホストを経由するinternetへの接続と研究室の他のパソコンとの接続が可能となりました。

 しかし、Win対応プリンターへの出力はできませんでした(Win_Mac共用の高級プリンター・ドライバを利用すれば可能かも知れません)。私 の場合には、しかたなくドイツでEPSON inkjet printer680を購入しました(ドイツ語対応版ですがprinter driverを変更しなくても日本語文がきれいに印刷できます)。余談ですが、プリンター・インクが高価なのには泣かされました。

 また、バックアップ用にZip Drive(250MB)DVD-RAM(2.6GB)を持って来ていま す。前者はWinとのデータ交換にも役だっています。後者は、アプリケーション・ソフトを含めた作成したファイルのバックアップに使用しています。実は、 滞在期間中、本体HDを物理フォーマットしなければならないトラブルに遭遇した時に、DVDにバックアップしていたおかげで9割のファイルが救われまし た。

 

5.日本語以外のOSで動いているパソコンで日本語を使う には?

(Internetで日本語表示のHPを読むには?/日本語でメールを送受信するには?)

 日本語以外のOSで動いているパソコンを日本語OSにシステム変更(切り替え)すれ ば可能ですが、仕事場のOSに手をつけることは許されない場合が多いと思います。幸いなことにMacのOS9以降の英語システムには多国籍言語機能が付い ています。WinではMicrosoft Global IMEを組み込むと英語/ドイツ語OSのまま日本語を読み書きすることができるようになります。組み込み方は、以下のHPをご参照 下さい。

Microsoft Global IMEとは? (無料ソフト/Download可能)

http://www.microsoft.com/windows/ie/features/ime.asp

Microsoft Global IME makes Internet Explorer the only major browser that lets you both read and write East Asian characters. Current Microsoft Language Packs allow any language version of Internet Explorer 4.0 or greater to display East Asian characters. With Microsoft Global IME, you can write those characters, too, without using a special keyboard or a different language browser. (from Microsoft HP).

・これで日本語表示のHPを読むことができるようになりますが、日本語でメールを送受信するにはさらにもう一工夫必要です。

メールソフト上で書いて送ると文字化けして読めないことがあるからです(英語OS上のOutlook Expressで送信されたメールを日本語AOLで受信すると文字化けを起こすという問題にぶつかりました)。この問題は、Microsoft Wordで日本語文書を書き、添付ファイルとして送ると解決します。

 

6.WindowsとMacパソコン間のファイル共有

  (互換性のあるファイル、CD-ROMファイル、通信環境の利用)

 以上の問題を解決してもまだ残る問題があります。Win/Macで作成したワープロやグラフィックファイルが互いに読めない(互換性がない)とい う問題です。作成された文書がそれぞれの環境で動いているアプリケーションソフトに依存している場合には致し方ないのですが、両環境で互換性のあるソフト があることを知っておくと便利です。目下のところ、Microsoft社のWord, EXCEL, PowerPoint. それに、ファイルメーカーpro、Photoshopなどには互換性があります。作成した ファイルを添付書類として送れば、どちらかでも読めるわけです。

なお、テキストファイルやJPGPICTと いう拡張子のついた画像ファイルはどちらの環境からでも開けます(これが正真正銘バリアフリーの世界共通言語です)。

 互換性のないデータベースで作成したデータを送りたい場合には、一旦テキストファイルとして保存し(フィールド間をタブで区切り、各レコードを改 行マークで区切って保存する)、送信すると受信者が間違いなく読めます。そのキストファイルを受信者が使っているデータベース・ソフトで読み込めば、デー タ転送が実現します。

 最近、CD-RWドライブが普及してきて、安価な空CD-ROM(650- 700MB)に大量のファイルが保存できるようになりました。パソコンの機種によってはWin/Macどちらの環境で作成されたCD-ROMでも相互に読 めるようになっています。そこで上で述べた互換性の制約を念頭において利用するととても便利です。メモリー量の大きなファイルを通信で送るよりもCD- ROMを郵送する方が安いかも知れません。

 フロッピーファイル(1.44MB)は、最近ではMac/Winのどちらからでも開けるようになりました。しかし、機種によっては開けない場合が あります(体験より)。そのような場合の一つの解決法:Winパソコンで、DOS画面にして から A:>format C:/9 AドライブにOSがあり、Cドライブにフロッピーデイスクがあるとして)とすると、720KBに初期化されます。 こうすれば、どちらからでも開けるはずです。

 

7.日本語でHPを作るには

 これまでの知識を総動員すれば、外国に居ながら日本語でホームページを作ることが可能であることがお分りかと思います。プロバーダーにHP登録を した後に、割り当てられたHP用サーバー(5-12MB)に、FetchなどのFTPソフト(File Transfer Protocol)を使ってアップロードすればよいのです(具体的な手続き法は割愛します)。

 HPの作成には、操作が簡単でよいソフトがたくさんあります。タグの知識がなくても作成可能です。WordEXCELでもHP用のHTML(Hyper Text Markup Language)文書ファイルを作成することができます。私は、今ご覧になっているHPをHomePage proを使って作成しています。ワープロ感覚で作れますので、日本の友人、家族宛の画像(写真)ファイル付きの公開お便りページとして使っ てみてはどうでしょうか?

 なお、HPに写真を載せたい場合にはデジカメが威力を発揮します(スキャナーで写真を画像ファイルとして取り込むことも可能です)。解像度を適度 に下げJPGファイルとしてアップロードするのがコツです(30KBまで下げてもきれいに見えます)。デジカメ画像をパソコンに転送する方法はいくつかあ りますが、メモリーカード(スマトメデイア)リーダーを使うのが最も簡単です。デジカメは電池の消費が早いのが問題ですが、充電用電池(ニッケル-水素電 池の容量が大きい)を2セット用意するとその心配が全く不要になります。

                               充電装置とメモリカード 

 

8.トラブルの解決法、修理

 もしもトラブルに出会ったら?マニュアル手元にない場合にはまず近くのコンピュタに詳しい人にヘルプを頼むのが第一です。結構教えたがりがいるも のです(特にMacユーザーには)。

一人で解決したい(せざるを得ない)場合には、1) ソフトに付属しているヘルプ・メニューを開く、2) ソフト/ハードメーカーのHPを開く、3) ソフト/ハードメーカーに電話/Faxする、4) 近所のパソコンショップに相談/修理を依頼する。これが私の場合の解決法でした。

 私は、1年間に3回パソコンを修理に出しましたが、ドイツでは修理費が高いのには閉口しました。しかし、パソコンショップでは英語が通じるので助 かりました。その上、Macショップに訪れる数少ない日本人として顔を覚えられ、親しくなれたというおまけがついて来ました。

 

さいごに

 パソコンの選択やインターネットへの接続は外国に来る人が常に抱える問題です。上に述べた私の経験がいくらかでもお役にたてば幸いです。しかし、 私はコンピュタの専門家ではないため誤解をしていたり、すでに解決されている問題を不可能と述べている可能性もあります。そのような点にお気づきになりま したら、遠慮なく小生までお知らせ下さい。

 なお、ドイツに滞在する日本人向けにパソコン/通信などの相談に答えてくれるWeb-siteがたくさんありますので、ぜひ開いてみて下さい。例 えば、

●ハンブルク・かわら版:http://www.hamburgkawaraban.de/
●City Magazine Hamburg:http://www.mmm-hamburg.de/

 

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